ハンドケアの1つに、パラフィンパックという方法があります。ネイルサロンで施術するイメージのパラフィンパックですが、セルフキットを使えば自分でもパックをすることが可能です。しかし、自分でやる必要性があるのか、そもそもどのような効果があるか知らないという方もいらっしゃるでしょう。
ここでは、パラフィンパックの種類や効果、セルフでのやり方などを紹介していきます。
パラフィンパックとは
パラフィンパックとは、美容成分が配合されている「パラフィン」というロウを溶かした温かい液体に、手や足を浸してパックをする美容方法です。液体の温度は40~50℃程度なので、心地良い温かさで代謝を促進できます。
指先や手・足に行われるのが一般的ですが、ロウを刷毛で塗りつける方法もあるので、フェイシャルやボディトリートメントでも使われています。
パラフィンパックは、即効性があるのが特徴です。美容成分を含むロウが肌に密着することで集中ケアができるので、素肌を滑らかに整えることができます。パラフィンパックには種類があるので、肌の状態に合わせたケアも可能です。
次項からは、どのような種類があるのか解説していきます。
パラフィンパック種類①:ピールオフタイプ
ピールオフタイプは、パラフィンが固まったら剥がすタイプのパックです。作業効率が高く短時間でできる美容方法なので、ネイルサロンでネイルの施術をする前のハンドケアとして人気です。
パラフィンパック種類②:スクラブタイプ
スクラブタイプには、シュガースクラブやソルトスクラブなどの種類があり、それぞれに得られる効果が異なります。
シュガースクラブはソルトクラブよりも粒子が細かく刺激が少ないので肌のキメを整える効果を、ソルトスクラブには発汗性があるので毛穴を綺麗にする効果が期待できます。
パラフィンパック種類③:マスクタイプ
マスクタイプは、パラフィンを洗い流して落とすタイプのパックです。パラフィンは温めて使うのが一般的ですが、マスクタイプは温めなくても使えるものもあります。
洗い流して落とすので、肌への負担を最小限に抑えられるのが特徴です。
パラフィンパックの効果
パラフィンパックは、人肌より少し高めの40~50℃に温められたパラフィンを使うので、美容成分がゆっくりと肌に浸透していきます。肌が温まることで角質が柔らかくなるので、角質が硬くなりやすい爪の周りやかかとへのクリームや美容液の浸透力を高めることが可能です。
次項では、これらの働きによって得られる、パラフィンパックの効果について解説します。
肌や爪の乾燥を防ぐ効果
パラフィンに配合される美容成分には保湿成分も含まれています。この保湿成分が肌にじんわりと浸透(※)するので、肌はもちろん爪の乾燥を防ぐ効果を期待できます。
パラフィンによって配合されている美容成分は異なりますが、ビタミン類やコラーゲン、ホホバオイルなどが入っているものなどさまざまです。これらの成分は肌の栄養にもなるので、ハリのある健康的な素肌へと導いてくれます。
角質を柔らかくする効果
パラフィンパックには、角質を柔らかくする効果も期待できます。
角質とは一番外側にある表皮のことで、正式名は「角質細胞」です。肌は28日程度でターンオーバーを繰り返しており、古い細胞が新しい細胞に押し上げられ、表皮の角質が剥がれ落ちていきます。しかし、ターンオーバーサイクルが乱れたり遅くなったりすると、古い角質が残ってしまい、くすみやごわつきなどを引き起こすことになります。
この状態を改善するには、古い角質を取り除かなくてはいけません。しかし、強く肌をこすったり無理に取り除いたりすると、肌にダメージを与えてしまいトラブルが起こりやすくなります。パラフィンパックは、角質を温めながら柔らかくしてパラフィンと一緒に取り除けるので、肌にダメージを与えずに角質ケアをすることが可能です。
血行を促進する効果
パラフィンパックには、血行を促進する効果も期待できます。
温かいお湯に浸けるだけでも血行は促進されますが、お湯は冷めてしまうので温かさを持続できません。パラフィンはロウなので冷めることなく、肌の深部まで熱を伝えて筋肉もほぐれるので血行が良くなります。血行が良くなると指先までしっかり血液が流れるので、冷え改善の効果も期待できます。
リラックス効果
パラフィンパックには、温熱作用によるリラックス効果も期待できます。パラフィンはパックしている部分を心地良く温めてくれるので、心身がゆるまり、不安やイライラが軽減していきます。
パラフィンの種類によっては、ローズやラベンダーなどのアロマが配合されているものも多いです。香りは脳にダイレクトに届くので、自律神経やホルモンに作用して不調をコントロールする効果をもたらしてくれるといわれています。
したがて、アロマ配合のパラフィンを選べば、温熱作用に加え、自分の好きな香りをかぐことでよりリラックス効果が深まるかもしれません。なお、ラベンダーには鎮静作用やリラックス効果、カモミールにはイライラの解消、ベルガモットにはリフレッシュ作用があります。
パラフィンパックのやり方
パラフィンパックは、道具をそろえればセルフでできます。
効果を実感するためには、ネイルサロンやエステサロンでプロの施術を受けたるのがベストです。しかし、忙しくてサロンに行く暇がない方や、近くに施術をしているサロンがない方は、セルフでチャレンジしてみましょう。
ここでは、自分で行う場合のパラフィンパックのやり方を紹介します。
①必要な道具をそろえる
まずは、パラフィンパックに必要な道具をそろえましょう。道具はネット通販でも販売されているので、手軽に購入できます。
パラフィンワックス
パラフィンパックは、「パラフィンワックス」が基材となるので必須です。ローズやピーチなど香りがついているもの、精油がセットになっているものなどがあるので、自分好みのものを選びましょう。
通販で購入する場合、「キャンドル用」のパラフィンワックスも売っているので、必ず用途を確認してパラフィンパック用を選んでください。
パラフィンバス(パラフィンウォーマー)
パラフィンワックスは固形なので、パックとして使用するときにはパラフィンバスで溶かします。価格は商品によって異なりますが、5,000円~10,000円前後のもので十分です。
ただし、商品ごとにサイズが違うため、安いものだと指先しか入らない可能性があります。サイズが小さいと手全体のパックができないので、購入するときにはサイズが用途に合っていることを確認しましょう。
保湿クリーム、保湿剤
パックをする前に、血行を促進したり新陳代謝を促したりするためのハンドマッサージを行います。何もつけずにマッサージをしてしまうと摩擦で肌が傷んでしまうので、保湿クリームや保湿剤を用意しましょう。
パック専用の商品もありますが、セルフの場合は普通のハンドクリームなどでの代用で問題ありません。
ハンド用やフット用のミトン
保湿効果を高めるためには、パラフィンパックをつけた後にミトンを使うのがベストです。タオルでも代用できるので絶対に必要というわけではありませんが、より効果を高めたい場合はパーツに合ったミトンがあると便利です。
②保湿クリームを塗りハンドマッサージを行う
道具が準備できたら、保湿クリームを塗りハンドマッサージを行います。保湿クリームを塗るときには、手にトラブルがないかチェックしましょう。傷があると肌荒れを起こしてしまうので、必ずトラブルがないことを確認してください。
保湿クリームを適量取ったら、手首から手のひら、指先までまんべんなくなじませながら、優しくマッサージします。手や爪の周りには多くのツボがあるので、少し強めに押しながらマッサージすると、血行や代謝の促進につながります。
③パラフィンパックをする
マッサージが終わったら、パラフィンワックスをパラフィンバスで溶かします。ワックスが溶けたら、45℃ぐらいに温度設定をしてください。
ワックスがちょうど良い温度になったら、手を広げた状態でゆっくりとワックスに浸けて、ゆっくり抜きます。いきおいよく手を入れると、ワックスがはねてしまうので注意してください。指同士がくっつかないように、手をしっかり広げることも忘れないようにしましょう。
これを3回繰り返します。
④ミトンやタオルなどで手を覆う
手にパラフィンの膜ができたら、保湿成分を浸透させるためにビニール手袋やラップでしっかり密閉します。このとき、手を動かしてしまうと、パラフィンが割れたり剥がれたりして効果が薄れるので注意してください。
ビニールで密閉したら、その上から手をミトンやタオルで覆いましょう。ビニールとミトンで密閉することで、より保湿効果が高まります。
⑤パラフィンパックを剥がして油分を拭き取る
パラフィンパックの放置時間は、ワックスの種類や商品によって異なるので、説明書に書かれている時間を守りましょう。
放置時間が終わったら、パラフィンパックを剥がします。ビニール手袋やラップを取らずに、手を動かしたり揉んだりすると周りをよごさずに剥がせます。
パラフィンを剥がした後は油分が残っているので、蒸しタオルなどで優しく拭き取ってください。このとき、油分が残ると肌に負担がかかるため、べたつきがなくなりしっとりとするまで丁寧に拭き取りましょう。
パラフィンパックの後で、爪やその周りの乾燥が気になる場合は、キューティクルオイルを塗るのがおすすめです。オイルが乾燥から守ってくれるので、爪の健康維持にも役立ちます。
パラフィンパックの効果を持続させるポイント
パラフィンパックをすると、すぐに透明感や肌の柔らかさを実感できます。この即効性が魅力なのですが、綺麗になったからといってケアを怠たってしまっては元も子もありません。
効果を持続させるには、パック後も継続したケアが大切です。どのようなケアをすればいいのか、効果を持続させるポイントを紹介するので参考にしてください。
こまめにハンドクリームを塗る
パラフィンパックは保湿効果が得られるケアですが、洗い物をしたりシャワーや洗顔をしたりすることで効果は薄れていきますので、できるだけこまめにハンドクリームを塗りましょう。ハンドクリームには保湿成分が含まれているので、パックの保湿効果をサポートしてくれます。
炊事や洗顔などの後はもちろん、手を洗った後や乾燥を感じたときなど、塗る回数を増やすのがポイントです。パソコンなど作業中に手のべたつきが気になる方は、べたつかないジェルタイプを使ってみるのがおすすめです。
手袋をして保湿効果を高める
手袋をすると、肌の水分が逃げるのを防ぎ、保湿効果を高めることができます。
ハンドクリームを塗れば保湿効果を高められますが、デスクワークや家事をしているとクリームは徐々に落ちてしまうもの。そのままの状態で過ごしていると、油分がどんどん奪われていき乾燥していきます。しかし手袋を活用すれば、ハンドクリームが落ちるのを防ぎ、空気中の乾燥からも肌を守ることが可能です。
ただし、手袋はシーンに合ったものを着けるようにしましょう。調理や洗い物など水を使う家事をするときには薄手のビニール手袋、バスタイムは体洗い用のメッシュ手袋、就寝中には美肌効果が期待できるシルクの手袋がおすすめです。
掃除や洗濯など水を使わない家事、デスクワークでは綿の手袋で手を守ってあげましょう。なお、お湯で洗い物をするときには、ハンドクリームを塗ってからビニール手袋を着けると、スチーム効果で手がすべすべになります。
まとめ
パラフィンパックは、ネイルや手のケアの中で、もっとも保湿効果があるといわれています。道具さえそろえられればセルフでもできるので、ぜひ試してみてください。
ただし、一から道具をそろえるとなると、それなりにお金もかかってしまいます。難しくはないといっても、正しいやり方でなければ思うような効果が得られない可能性があります。
まずは、ネイルサロンなどでプロの施術を体験して、ワンランク上の美しく透明感のある素肌を実感してください。特に、手の乾燥やくすみに悩んでいる方は効果を実感しやすいので、1度試してみることをおすすめします。