ネイルをする・しないに関わらず、自爪が健康だと指先も美しく見えます。この自爪の健康に関わっているのが「ハイポニキウム」です。
ハイポニキウムというのは爪の裏側にある甘皮を指すネイル専門用語で、この部分の長さが適切で健康な状態であれば二枚爪になったり途中から折れたりすることなく、爪を綺麗に伸ばせます。
今回は、セルフネイルをしている人でもあまり馴染みがない「ハイポニキウム」を伸ばすメリットや伸ばす方法、注意点などについて詳しく解説します。
ハイポニキウムとは
ハイポニキウムとは、爪下皮(そうかひ)とも呼ばれる「爪の裏の甘皮」です。爪の表面の根元にも皮膚と爪の間に甘皮があり、ハイポニキウムは爪の裏側と皮膚をくっつける役割を担っています。
ハイポニキウムの長さは爪の状態によって異なるので、爪の裏側を見ても何もないという方もいるかもしれません。爪の裏を見てもどこかわからない場合は、表から見てみましょう。
爪のピンク色の部分であるネイルベッドとその先に伸びている爪先の部分の境にあるのがハイポニキウムで、ネイルベッドが長ければ(大きければ)ハイポニキウムが長い状態です。反対にネイルベッドが小さければ、ハイポニキウムが短いもしくはほとんどない状態だと判断できます。
ハイポニキウムを伸ばすメリット
普段は意識することもないと思いますが、ハイポニキウムを伸ばすとさまざまなメリットが得られます。「地爪が小さい」「折れやすい」などの、コンプレックスがある人もいるでしょう。その場合は、ハイポニキウムを伸ばすことで解決できるかもしれません。
ここからは、ハイポニキウムを伸ばすことで得られるメリットをご紹介します。
指が長く見える
ハイポニキウムを伸ばすと地爪のピンク色の部分であるネイルベッドも縦に伸びていくので、指が長く見えるところがメリットです。
細くて長い指でも、ネイルベッドが小さく面積の狭い爪では指先が詰まった印象になるため、指が短く見えてしまいます。逆に、少し短い指であっても、爪が縦長だとスラッとした印象を与えることが可能です。
縦長で形の整った爪はそのままでも綺麗ですが、クリアネイルやワンカラーなどのシンプルなネイルでもワンランク上の仕上りになります。指の長さや手先にコンプレックスがある方でも、ハイポニキウムを伸ばすことで自信の持てる指になれるのは大きなメリットといえるでしょう。
細菌や汚れ、細かいゴミを守ってくれる
ハイポニキウムには、爪の隙間から入る細菌や汚れ、細かいゴミなどを防ぐ役割があります。
爪の裏側は、思っている以上に汚れています。たとえば料理をする際に、食材を素手で扱うと爪の裏に汚れが詰まりやすいです。洗濯物を干したり、掃除をしたりするときに細菌が付着することもあります。
爪の裏は、ただ手を洗うだけで汚れを落とせる場所ではないので、爪用ブラシなどを使ってしっかりこすらないと、細菌や汚れが残ってしまうことも。ハイポニキウムがなければ、付着した細菌や汚れが爪と皮膚の間に入り込んでしまう可能性もあるのです。
ハイポニキウムが伸びていれば、爪と皮膚の間の隙間がなくなり、汚れが付着する面積が小さくなるので、汚れを防げるというメリットを得られます。
深爪防止につながる
ハイポニキウムは、深爪防止につながるというメリットもあります。ハイポニキウムをしっかりと伸ばすには、衝撃やダメージを与えないことが大切です。爪を短くしたり形を整えたりするときには、爪やその周辺に負担をかけてしまう爪切りではなく、ネイルファイルを使いましょう。
ネイルファイルで少しずつ爪を削りながら長さを整えていけば、深爪をすることはありません。一度深爪をしてしまうと、元の地爪の大きさに戻すまでにかなりの時間を要しますが、深爪にならなければ地爪の面積を維持できます。
ポリッシュネイルでもジェルネイルでも、地爪の面積によってアートの見え方は変わってくるので、綺麗な指先を保ちたい方にとって「深爪のリスクがない」というのは大きなメリットです。
ハイポニキウムを伸ばす5つの方法
ハイポニキウムを伸ばすメリットがわかると、「私も伸ばしたい」と思う方も多いのではないでしょうか。ここからは、ハイポニキウムを伸ばす方法を5つご紹介していきますので、できることから実践してみてください。
爪を短く切りすぎない
最初に意識したいのは、爪を短く切りすぎないことです。ハイポニキウムというのは爪に沿って伸びているため、短く切ってしまうと伸ばせなくなってしまいます。仕事などの関係で短くしなければいけない場合でも、爪の白い部分は2~3mmほど伸ばしておきましょう。
爪に負担をかけるとハイポニキウムにも負担がかかり、伸びにくくなってしまいます。「爪切り」は爪に大きな負担をかけるので、爪を短くするときにはエメリーボードなどのネイルファイルを使いましょう。
ただし、ネイルファイルであっても、ノコギリのように往復させて短くすると負担をかけてしまうので、一定方向に動かすのがポイントです。爪の白い部分が長い場合は、2mm程度までニッパーでカットしてからネイルファイルを使うと、短時間で負担をかけずに短くできます。
定期的にネイルオイルを塗る
ハイポニキウムも皮膚の一部なので、定期的にネイルオイルを塗って保湿をしましょう。塗るタイミングはいつでもいいのですが、特に乾燥しやすい「洗顔後」「洗い物をした後」「手を洗った後」はネイルオイルでのケアがおすすめです。
塗り方はとても簡単で、普段爪周りや甘皮などに塗るのと同じように、ネイルオイルを爪の裏側に塗るだけです。ネイルオイルがない場合は、乳液・美容液・ワセリン・ハンドクリームなどでも代用できます。米粒ほどの量を指にとって、爪周りからハイポニキウムまで馴染ませてください。
ネイルオイルは何回塗っても問題ないので、ハイポニキウムを確実に伸ばしたい場合は、乾燥を感じたらすぐに塗るようにすると効果的です。
爪の補強を行う
爪の補強を行うこともハイポニキウムの育成に役立ちます。爪が薄かったり二枚爪になりやすかったりすると、いくら保湿をしていても、爪への負担が大きいためハイポニキウムが育ちません。
ネイルポリッシュやジェルネイルなどで爪に厚みを持たせて補強をしておけば、爪が折れたり割れたりするのを防げるので、ハイポニキウムの成長をサポートできます。
爪に負担をかける行為をしない
爪に負担をかけるとハイポニキウムが伸びないので、負担をかける行為をしないように心がけることが大切です。爪にダイレクトに負担をかけるのは「爪切り」ですが、実は日常生活の中でも何気ない行為が負担になることがあります。
いくつか具体例を挙げますので、どういったことが負担になるのか把握して、爪への負担を減らしましょう。
<爪に負担をかける行為>
- シャンプーをするときに爪を立てて洗う
- 缶のプルリングを爪で開ける
- PCのキーボードを爪で打つ
- ダンボールのガムテープなどを爪で切る
- 乾電池交換や蓋開けで爪を使う
- 詰まっているものを爪でかき出す
- シールやラベルを爪で剥がす
動作的には負担をかけていると感じないことでも、小さい爪に大きな力が集中してしまうような行為はハイポニキウムの成長を妨げるので、注意してみてください。
正しい生活習慣を送る
ハイポニキウムを伸ばすためには、正しい生活習慣を送ることも重要です。寝不足だったり栄養不足だったりするときに、「爪に縦線ができた」「折れやすくなった」という経験をしたことがある方もいるのではないでしょうか。
爪や甘皮だけでなく、ハイポニキウムも新陳代謝を繰り返すことで健康な状態を保っています。不規則な生活習慣というのは新陳代謝のリズムを狂わせてしまうため、代謝が低下すると健康状態が維持できず成長が停滞してしまうのです。
また、食生活が乱れると代謝や成長に必要な栄養素が取れず、ハイポニキウムの成長が妨げられてしまいます。このように、生活習慣はハイポニキウムの成長に大きく関わっているので、規則正しい生活習慣を心がけて爪も体も健康な状態を維持できるようにしましょう。
ハイポニキウムを伸ばすうえでの注意点
ハイポニキウムが伸びれば、爪が綺麗な形に整うだけでなく、トラブルのリスクが下がるところがメリットです。ただし、伸ばすうえでの注意点もあるので、以下の内容を把握しておきましょう。
ハイポニキウムが伸びるまで2週間程度かかる
ハイポニキウムは、伸びるまでに早くても2週間程度かかります。そのため、1週間程度で「伸びない」と判断して、伸ばすことを止めてしまうのはNGです。
ハイポニキウムも皮膚なので、伸ばす方法を実践したからといってすぐに伸びるわけではありません。伸ばす方法をすべて実践していても、伸びるまでの期間は生活環境や生活習慣、体質などによって違いがあるので、最低でも2週間はしっかりとケアを実践しましょう。ハイポニキウムが伸びるまでに、人によっては長くて1ヶ月~3ヶ月、数ヶ月かかることもあります。
いずれにしても、短期間で「伸びない」と判断してしまうといつまで経っても伸ばせないので、期間は気にせず長い目でケアを続けることが重要です。
伸ばし過ぎると剥がれることもある
ハイポニキウムは、伸ばしすぎると剥がれることがあるので注意しましょう。爪も伸ばしすぎると折れてしまうのと同じで、ハイポニキウムも伸びすぎると、伸びた部分が乾燥したりダメージを受けたりすることで剥がれてしまいます。
長すぎる部分だけ剥がれたのであれば問題ありませんが、状態によっては根元から剥がれてしまうこともあります。剥がれてしまうと爪が割れやすくなる、深爪に見えてしまうなどのデメリットがあるので、伸ばしすぎには気をつけてください。
ハイポニキウムを伸ばす時によくある質問
ハイポニキウムのメリットや伸ばす方法はわかっても、今まで馴染みがなかった部分なので、ハイポニキウムに関していろいろな疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
ここでは、ハイポニキウムを伸ばすときに、よくある質問を3つ抜粋して紹介します。
ハイポニキウムが痛いのはなぜ?
A:痛みがある場合は、爪甲剥離症(そうこうはくりしょう)かもしれません。爪甲剥離症というのは、ハイポニキウムが爪から剥がれて浮き上がった症状のことです。主な原因は、負担による外傷やマニキュア、爪の裏を綺麗にしようとする際に傷つけてしまうことが挙げられます。
常に痛みがある場合は、皮膚科を受診してください。「爪を押したときに痛みがある」「たまに痛い」など一時的な場合は、ネイルオイルでの保湿や爪に負担をかけないようにするなど日常的なケアを続けることで次第に治ります。
もし角質化してしまったらどうしたらいい?
A:角質化したハイポニキウムはネイルファイルで削りましょう。ハイポニキウムが伸びてくると、先端部分が硬くなり角質化することがあります。角質化を放っておくと、そこから剥がれてくることがあるので早めにケアをしましょう。
ネイルオイルで爪周りとハイポニキウムを保湿したら、ネイルファイルを使って角質化した部分を少しずつ削っていきます。ハイポニキウムには神経が通っているため、硬い部分が少し残っている程度のところで止めてください。
なお、爪切りやニッパーは切りすぎたり傷つけたりするので、これらのアイテムでカットするのはNGです。
ハイポニキウムの汚れを取る方法とは?
A:汚れをぬるま湯でふやかして、爪用ブラシなどで落としましょう。ハイポニキウムが汚れたり、爪の裏側にゴミが詰まったりした場合は、ぬるま湯で汚れをふやかしてから、爪用ブラシなどやわらかいブラシで優しくこすって落とします。汚れを取るために、爪楊枝などで爪の裏側を掃除する人がいますが、先端の尖ったものを使うとハイポニキウムが傷ついてしまい、伸びなくなってしまうので注意が必要です。
また、汚れを落とした後は乾燥しやすいので、忘れずにネイルオイルなどで保湿するようにしてください。
まとめ
ハイポニキウムは無理に伸ばす必要はないものの、ある程度の長さを保っていればネイルベッドが広くなり爪の形が綺麗に整います。爪が適度に大きければジェルネイルもやりやすいですし、シンプルなネイルでも存在感のある仕上りになります。
また、土台がしっかりすることで爪が折れにくくなるなどのメリットもあるので、爪が弱い方はハイポニキウムを伸ばしてみるのがおすすめです。ただし、セルフケアだけでは汚れなどが詰まりやすく、菌が繁殖するという注意点もあるため、定期的にネイルサロンでプロにケアをしてもらいながら伸ばしていきましょう。