ネイルサロンでは、ジェルネイルやポリッシュネイルなどポピュラーな施術だけでなく、パラジェルやフィルインという施術も行っています。どちらも爪への負担が少ないことから注目が高まっていますが、フィルインは「施術方法」であり、パラジェルは「ジェルネイル」の1種であるという違いがあります。
爪が弱い方やトラブルを抱えている方は、爪への負担が大きいジェルネイルを諦めているかもしれません。しかし、パラジェルやフィルインであれば施術をすることも可能です。今回は、フィルインとパラジェルについて解説します。
フィルインとパラジェルの違い
フィルインとパラジェルについて「どのように違いがあるのだろう?」と疑問を抱いたことがある方は多いかもしれません。それぞれの違いを確認する前に、フィルインとパラジェルの違いについて、理解しておきましょう。
- フィルイン・・・ネイルを施すための施術方法
- パラジェル・・・爪へのダメージが少ないジェルネイル
ここからは、フィルインとパラジェルの爪へのダメージや施術方法などの違いについて解説します。
爪へのダメージ
フィルインとパラジェルは、一般的なジェルネイルや施術方法に比べて、爪へのダメージを低減できます。
| オフのやり方 | 爪へのダメージ |
---|---|---|
フィルイン(施術方法) | 装飾やカラージェルだけをサンディングでオフして、ベースジェルは残しておく | ベースジェルを残すのでオフするときのダメージがほとんどない |
パラジェル(ジェルネイル) | カラージェルはサンディングをして、ベースジェルは溶剤で溶かしてオフをする | ベースジェルを塗布する前やオフするときのサンディングが不要なのでダメージを軽減できる |
ジェルネイルというのは、自爪をジェルで保護したり、ベース・カラー・トップジェルでコーティングしたりすることで爪を補強できます。しかし、ベースジェルの密着性を高めるために、「プレパレーション」という工程で自爪に傷をつける「サンディング」を行います。オフをするときも、サンディングですべてのジェルを削るので、自爪へのダメージを避けられません。
フィルインはオフのときにベースジェルを残しますし、パラジェルは削らずに溶剤で溶かすので、どちらも爪へのダメージを抑えることが可能です。
ただし、パラジェルで使う溶剤は自爪の表面部分まで溶かしてしまう恐れがあるので、ダメージがゼロになる訳ではありません。そのため、ベースジェルを残すフィルインの方が爪へのダメージを抑えられます。
施術方法と工程
フィルインとパラジェルの施術方法と工程には、以下のような違いがあります。
| 施術方法 | 工程 |
---|---|---|
フィルイン(施術方法) | ジェルネイルの表面を削り、ベースジェルを一層残し、再度ネイルデザインをする | 1. トップジェルとカラージェルを削る 2. ベースジェルを残し、爪の長さや形状を整える 3. クリアジェルを塗布してベースを作る 4. カラージェルなどでネイルデザインを施す 5. トップジェルを塗布して硬化する |
パラジェル(ジェルネイル) | サンディングをせずに、専用のベースジェルを塗布してネイルデザインをする | 1. 甘皮や角質を処理して、爪の形や長さを整える 2. ベースジェルを塗布して硬化する 3. 好きなカラージェルを塗布して硬化する 4. トップジェルを塗布して硬化する (パラジェルは専用のジェルを使うため、工程はジェルネイルと同じです) |
フィルインとパラジェルはオフの方法に違いがあるものの、ネイルデザインをする工程にはほとんど違いはありません。ただし、パラジェルは溶剤でベースジェルまで落としきるため、再度ネイルデザインをする際には、またベースジェルを塗布する工程から始める必要があります。工程の多さでいうと、フィルインの方が少なく、パラジェルの方が多いといえます。
しかしセルフで簡単にできるか、という点に関しては、パラジェルの方が簡単にできる傾向が高いです。フィルインは、ベースジェルを一層残して削るという工程の難易度が高く、難しいと感じる方が多いです。一方、パラジェルを使った施術方法の場合は、ベースネイル塗布前のサンディングを行わず、そのままベースネイルを塗ればいいだけなのでセルフでも簡単にできます。
ただし、厳密にいうとどちらもセルフで簡単にできないのが実情です。
パラジェルの工程はジェルネイルと同じですが、専用のジェルを購入しなければなりません。専用ジェルは取り扱っているサロンもしくは店舗でしか購入できず、オンラインショップでも代理店などを通さないと購入できないので、手に入れるためのハードルがとても高い のです。
また、普通のジェルよりもさらっとしたテクスチャーで流れやすいため、セルフネイラーさんはかなり扱いづらく感じるでしょう。
フィルインとは
フィルインとは、ジェルネイルをオフするときに、ベースジェルを一層残した状態に仕上げる施術方法です。一般的なネイルオフは、ベースジェルまで、すべてをサンディングもしくはアセトンでオフします。しかし、ベースジェルを削ったり溶かしたりすると、自爪に与えるダメージが非常に大きく、薄爪や二枚爪などのトラブルを起こすリスクが高いです。
フィルインは、ベースジェルを残した状態でオフが完了するので、自爪へのダメージを最小限に抑えられるため、爪のトラブルを防ぎたい方から高い支持を得ています。
フィルインのメリット
フィルインは爪への負担が少ないというメリットがありますが、他にも4つのメリットが挙げられます。
自爪が薄くなるのを防げる
フィルインは爪を削りとってオフするジェルネイルとは違い、ネイルだけを削ります。そのため、自爪を削らなくてもネイルをオフすることが可能です。
薄爪の原因はいくつもありますが、ジェルネイルも1つの原因として挙げられます。ジェルネイルは3週間程度で付け替えをするのが一般的ですが、この頻度で自爪を削ってしまうと、爪が薄くなりやすいです。
しかし、フィルインでオフをすれば、オフ時に自爪を削ることはありません。また、付け替える際のプレパレーションでも自爪に傷をつけなくてもよくなるので、負担を大幅に減らせます。自爪を削らなければ、健康な爪を育成できるのはもちろん、強度を保つことも可能です。
剥がれにくい
サロンによって使用するジェルは違いますが、フィルインのメニューがある場合は専用のベースジェルを使っているお店が多いです。
フィルイン専用のベースジェルには、密着性を高める酸が配合されています。そのため、通常のジェルネイルよりも強度の高い土台となり、ネイルが剥がれにくいというメリットを得られます。
ネイルデザインを続けられる
通常のジェルネイルオフでは、ネイルマシンやファイルでジェルを削ります。ベースジェルは、削るかアセトンで溶かすといういずれかの方法になりますが、どちらにしても自爪に大きな負担がかかります。そのため、ジェルネイルを一定期間続けたら、爪の健康を取り戻すために1度ネイルをお休みしなければなりません。
しかし、フィルインは自爪への負担が少なく、健康を損なうこともないのでお休みする必要がありません。お休みすることなくジェルネイルを楽しめるところも、メリットといえるでしょう。
自爪を伸ばせる
ジェルネイルを長期間続けていると、プレパレーションとオフのときのサンディングにより、爪が薄くなり強度が低下します。薄い爪は、ちょっとした衝撃や形を整えるときの刺激でも折れやすいため、なかなか伸びません。
しかし、フィルインは自爪を削らないので、健康状態を維持することが可能です。健康な爪は折れにくいので、しっかりと伸ばせます。爪が長ければ、短い爪よりもデザインの幅が広がるので、いろいろなジェルネイルを楽しめるところがメリットです。
フィルインの注意点
フィルインの注意点は、以下の2つです。
- 厚みのある仕上がりになる
- メンテナンスが必要
厚みのある仕上がりになる
フィルイン用のジェルは、強度を持たせるために、普通のジェルよりも厚みのある仕上がりになります。そのため、やり方によっては不自然な仕上がりになってしまうことがあるので注意しましょう。
ナチュラルな仕上がりを求める場合は、フィルインは止めた方がいいかもしれません。
メンテナンスが必要
ネイルを休む必要がなかったとしても、定期的なメンテナンスは必要です。フィルイン用のベースジェルは密着性に優れていますが、それでもずっと付けっぱなしにしていると浮いてくる可能性があります。ベースジェルが浮くと、隙間から水分が入ってしまい、グリーンネイル(緑膿菌)に感染してしまうリスクがあるので注意しましょう。
フィルインがおすすめの人
フィルインがおすすめの人は、以下の3つのタイプです。
- 自爪にダメージを与えたくない人
- 薄爪が気になる人
- 爪が乾燥しやすい人
自爪にダメージを与えたくない人
フィルインは、基本的にオフをするときに自爪を削ることがありません。そのため、自爪へのダメージはジェルネイルをする際に行うプレパレーションのときだけになります。
自爪を削るプレパレーションも、最初の施術のときだけで、付け替えをする際に削ることはないので、自爪にダメージを与えたくない人におすすめです。
薄爪が気になる人
体質的に爪が薄い、もしくはジェルネイルの施術で薄爪になってしまった人にはフィルインがおすすめです。フィルインはジェルネイルを付け替えるときにも自爪を削らないので、薄爪をケアしながらジェルネイルで補強できます。
爪が乾燥しやすい人
ジェルネイルをオフする際に、アセトンという溶剤を使ってベースジェルを落とす方法があります。アセトンは、爪の水分を気化させる成分が入っているため、乾燥しやすくなります。フィルインはアセトンを使わないので、爪が乾燥しやすい人にもおすすめです。
フィルインのやり方とポイント
フィルインのやり方は非常にシンプルで、トップジェルとカラージェルの部分だけをファイルやネイルマシンで削れば完了です。ポイントは、ベースを削り過ぎないようにすることです。カラージェルを削るときは、こまめにダストを払って、ベース部分に達していないかチェックしましょう。
パラジェルとは
パラジェルとは、ジェルネイルとの密着性を高めるために、自爪に傷をつける「サンディング」という工程が不要なソフトジェルネイルです。
パラジェルは、通常のジェルに入っていない酸が配合されているので、サンディングをする必要がありません。そのため、自爪へのダメージをほとんど与えることなくジェルネイルを楽しめるのです。
パラジェルのメリット
パラジェルには、以下の3つのメリットが挙げられます。
- 自爪へのダメージが少ない
- 硬化時間が短い
- カラーの発色が良い
自爪へのダメージが少ない
ジェルネイルは、自爪に傷をつけて密着性を高めるため、付け替えやオフをする度にダメージが蓄積されてしまいます。これが薄爪の原因になるのですが、パラジェルはサンディングをしないので、ダメージを少なくできるメリットがあります。
また、ダメージの蓄積も軽減できるので、自爪の健康を維持できるのもメリットです。
硬化時間が短い
パラジェルは、UVライトではなくLEDライトを使用するため、通常のジェルネイルよりも短い時間で硬化できます。硬化時間が長いと、その分施術時間が長くなってしまいますし、熱さも感じやすくなります。硬化時間が短ければ、熱さを感じにくく、短時間での施術が可能です。
カラーの発色が良い
パラジェルには、きめ細かい粒子の高級顔料が使われているので、発色が良いというメリットがあります。カラーやデザインによっては一度塗りでも十分な発色が得られるので、デザインの幅が広がる、厚みのない仕上がりになるなどのメリットも得られます。
パラジェルの注意点
パラジェルには、以下の2つの注意点があります。
- 高度なネイルスキルが必要
- 独特のニオイがある
高度なネイルスキルが必要
パラジェルは代理店などを通せば購入できますが、「パラジェルディプロマ」という民間資格があるほど高度なネイルスキルが必要なので、セルフネイルには向いていません。ネイルサロンで施術を受けるとしても、認定サロンではない場合、失敗するリスクがあるので注意してください。
独特のニオイがある
パラジェルには独特のニオイがあります。回転率の高いネイルサロンであれば、そこまで気にならないかもしれません。しかし、パラジェルの施術が少ないサロンだと、独特のニオイで気分が悪くなることもあります。そのため、ニオイに敏感な方は注意しましょう。
パラジェルがおすすめの人
パラジェルがおすすめの人は、下記のような方です。
- 爪が薄い人
- 施術時間を短くしたい人
爪が薄い人
パラジェルは、デザインネイルを施すときもオフをするときにも、自爪をサンディングしません。サンディングは爪が薄くなる原因の1つなので、もともと爪が薄い人はジェルネイルを続けると爪の健康を保てません。パラジェルであればサンディングは行わないので、爪が薄い人も安心です。
施術時間を短くしたい人
パラジェルはサンディングをしないだけでなく、硬化時間もジェルネイルより短いという特徴があります。ジェルネイルは1分弱かかりますが、パラジェルは10~30秒ほどで硬化が終わるため、施術時間を大幅に短縮できることから、育児や仕事で忙しい方に向いています。
パラジェルのやり方とポイント
パラジェルは、自爪に傷をつける「サンディング」という工程が不要なソフトジェルネイルなので、基本的なやり方は通常の施術方法と変わりありません。
- プレパレーション(サンディングなし)
- ベースジェルを塗布して硬化する
- カラージェルやアートを施す
- トップジェルを塗布して硬化する
ポイントとしては、テクスチャーが柔らかいので、素早くジェルを塗布して硬化することが挙げられます。しかし、前述したように難易度が高いため、セルフでの施術はおすすめできません。
まとめ
ジェルネイルは、爪に厚みを持たせることで弱い爪へのダメージを防ぐ効果が期待できます。しかし、爪への負担は避けられないため、長期間ジェルネイルを続けていると、健康な自爪を育てるのは難しいのが実情です。
パラフィンやフィルインは、ジェルネイルと同じ仕上がりになるに、爪への負担を軽減できるという大きなメリットがあります。綺麗なネイルを維持しながら、自爪を健康にしたいという方は、ぜひ一度ネイルサロンで施術を体験してみてください。